第264章 ---.冬は終わり 椿は夏の夢を見る。
消毒液の匂いがする。
あたたかい
臨はゆっくりとその瞼を持ち上げると 心配そうに覗き込む愛しい妹の顔が見え 笑みを浮かべた。
「…………大きくなりましたね、ルキア」
臨の右腕が ルキアの頬を撫でる。
「緋真に よく似ています」
「姉さんっ」
その手をルキアは握りしめると ボロボロと泣き出した。
「ほらほら、泣かないんですよ。貴女は誇り高き四大貴族なんですから」
「う………ぅぅ…」
「ほーら」
握り締められたまま 臨は右手を動かしルキアの涙を指先で拭う。
摩擦で赤くなったそれに 苦笑いすると そっと口を開いた。
「ルキア、私が死した後のことを聞いてもいいですか」
しかし、泣きじゃくりながら説明するルキアのその言葉に 臨がうんうん言いながら理解しないでいると、白哉が室内に入ってくるのが見え、ルキアの頭をそっと撫でた。
「朽木隊長、お疲れ様です」
「ルキア 恐らくその説明では臨は理解していない」
その言葉にルキアがキョトンとする。
「ごめんねルキア」
「あ………」
ゆでダコのように ルキアの顔が真っ赤に染まると 臨は白哉に説明をお願いしますと伝えた。