第10章 憂鬱の雨
何戦か行った結果、記憶上では初めて対戦した割に好成績を残した
「は~お嬢さん強いねぇ」
『たまたまですよ』
「なんと言うか…運が味方してるって感じでなぁ…」
思わず吹き出してしまう。運が味方についてるなんて、赤司君みたいだ
彼の無敗を思い出して笑っていると、おじいちゃんもにっこり笑った
「悩み事も吹っ切れたようじゃな」
『おかげさまで』
「わしもいい暇つぶしになった。有難う」
『いえ全然、私はなにも』
「また良かったら相手しとくれ」
『私でよければ』
おじいちゃんも用事があるのか病室に戻ろうとする。それを送って、「また来ます」と別れた
人に相談するって大事なんだなぁと思って歩いていると、出入口の掲示板に夏祭りのお知らせのポスターが貼ってある
『夏祭り、あるんだぁ』
行きたいなぁと思ってアプリで連絡をとろうとスマホを出したところ、声が掛かる
「名前ちゃん!ちょうど良かった!」
『あれ、高尾君…緑間君?』
「いや~真ちゃんが心配してたからさ、迎えに来ちゃった」
「心配なんてしていない」
「図書館でそわそわしてただろ~?」
病院を出ると雨はまだ降っていた。だけど今はそんなに憂鬱な気分ではない
それぞれが傘をさして、どこかへと歩き出す
「そう言えば、夏祭り行かね?」
『え、私も言おうと思ってた』
「まじ?図書館にお知らせあって行きてぇな~と思ってさ」
『ほんと?みんなで行きたい!』
「行くのだよ。みんなそのつもりだ」
緑間の言葉に笑みを浮かべて高尾と目を合わせてニッと笑う
「名前ちゃん浴衣着て来いよ、俺らも着てくし」
『えー、みんな目立っちゃうね』
「どういう意味だ」
『背が高いから?』
「じゃあ190cm以上は別行動にするか」
「高尾赤司黒子以外はみんな190超えているのだよ…!」
高尾がケラケラと笑いながら「ジョーダンだって」と緑間の肩を叩く
その様子を見ながら苗字は当日晴れて、みんな集合出来るといいなぁと思いながら笑った
空に少しだけ、晴れ間が見えた