第11章 溶けていくもの
ある夏の日、苗字の下に火神から"ちょっと会わせたい奴がいるんだけど"とメッセージが届いた。
そこから連絡をとるうちに、とりあえず火神の家に来いということになった
チャイムを鳴らすとドアが開いててっきり火神が出てくると思った苗字は美形が出てきたことにびっくりした
『あっ、えっと初めまして…?』
「初めまして、かな?氷室辰也です。」
『お話はよく伺ってます。入院中にお花ありがとうございました』
「大したことないさ。タイガのガールフレンドに会えてとっても嬉しいよ」
『ガッ…!!』
「たたたタツヤ!!とりあえず中入れ!!」
お邪魔しますと声をかけて、中に入るとお菓子を食べる紫原が苗字の方を向いて手を振っている
『紫原君も来てたんだ』
「うん。室ちん、あんまり弄ると名前ちんが真っ赤になっちゃうからやめたげて~」
「ああ、失礼。ごめんね」
『い、いえ…』
べしべしと自分の隣を叩く紫原は苗字にそこに座れと訴えているようで、察した彼女はそこへ座った
火神は苗字に飲み物は何がいいかを聞き、キッチンに向かい手に持ち戻ってテーブルに置き彼女の前に座った
「紹介するというか…多分桃井のノートでよく知ってるよな?」
『氷室さんのこと?』
「ああ」
『うん。虹村さんからもちょっと聞いてた』
「向こうで仲良かったからね」
ふふっと笑う氷室の話は興味無さそうに紫原がお菓子の山を崩していく
だが飽きてきたのか、火神の方を向いて口を開く
「ね~火神、なんか作ってよ。すぐ食べれるヤツ」
「はぁ!?お前人の家押しかけといて…!」
「室ちんがいいって言ってたもんね~」
「くっ…!!」
「甘いものがいいな~」
「あーわかった作りゃいいんだろ!!」
仕方なさそうに立ち上がりエプロンを手にした火神はキッチンに向かう
その後を苗字がついて行く