第7章 帝光へ
色々話しかけてもタオルに顔を埋めたまま「うん」としか返してこない苗字は「悔しい、なぁ」と声を震わせながら呟いた
その声は小さかったにも関わらず彼らにはしっかりと聞こえ、黒子は微笑みながら彼女の隣に座った
「悔しいって気持ち、大事ですよね」
『うん』
「でも、それだけバスケが好きってことですよね?」
『…そう、だね』
タオルから顔を離し、笑う彼女の目は少し赤く染まっていた
多分彼女は負けたことが悔しいのではなく、彼らについていけ無かったことが悔しいと考えているのだ
その気持ちが痛いほど分かる黒子はそう声を掛けたのだ
「そろそろ練習再開させるが、いいか」
「はい、どうぞ」
そうしてキセキ+αの戦いは赤司チームの大勝利により幕が閉じられた。普段から練習を怠っていたわけではないものの、この試合は彼らでもとても疲れ、勉強になるものでもあったらしい
キセキの世代として名を通らせる彼らと全国出場の選手の試合は現帝光中バスケ部員にとっても勉強になったらしく、終わった瞬間拍手と歓声があがったくらいだった
そんな憧れの先輩に指導されて喜んでいたようだが、やはり疲れるのは仕方がないらしい。練習が終わる頃にはみな最初の元気さはどこに行ったのかというくらいにクタクタに、まさに屍の山ができあがっていた
「名前ちゃん今日どうだった?
オレ達とのバスケ、楽しかったっしょ?」
『とっても楽しかった!ただやっぱり疲れるね…うん』
「来週は誠凛行くか」
「みなさん来週も空いてるんですか」
「んー…まあ、空いてるかもー。練習無かったと思うし~」
それぞれ予定を話していくと、まあ予定が入っているものも居たが休んで行くということで話がまとまった。一応バスケの予定ではないようだが休むなんて、なんだかんだ言って仲が良いのである
来週も集まるということで喜んでいる者もいれば仕方なさそうにしれいるものもいたが、その仕方なさそうにしている人も内心は楽しみにしているのである