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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《4》

第7章 帝光へ




凄まじい試合である。鉄壁を誇るの紫原の守りをくぐり抜ける緑間のシュートと黄瀬の動き
しかしくぐり抜けると言っても、稀である。赤司と紫原、高尾のディフェンスはそう甘くない

だがそれは相手にも同じだった。完全無欠の模倣を駆使している黄瀬と、シュートだけでなくディフェンスも得意な緑間によるコンビネーションに、元々運動神経の悪くない苗字の動き

ただ苗字の動きがあの3人に対してでも通じるのか言われたらそれは無理である




「もらったァ!」


『緑間君ごめ…』


「謝ることじゃないのだよ」



高尾に取られたボールを緑間がすぐに取り返し、シュートを撃つ
そんなシュートに見とれていると、迷わずに赤司が紫原にパスを出した

2mを越えた体格とは思えない速度で攻めてくる彼に、苗字が止めに入った

一時的な凌ぎにしかならないそれだが、黄瀬に赤司のマークを外す時間を与えた




「紫原後ろ!」


「遅いっスよ!」



黄瀬の後ろからボールを弾こうとしていた。だがそれを紫原はギリギリで避けた
まるで彼が、誠凛と戦った時のように

だがその避けた方向に、苗字が既に手を出していた




『黄瀬君!』


「ナイス名前っち!」



黄瀬がボールを取りそのまま攻め進み、シュートを決めるかと勝手に思っていた。今度は赤司が彼の前に立ちはだかっていた

序盤にあった時のような駆け引きが再び始まった

お互いゾーンに入っているこの状態、その駆け引きの終わりは、意外なものだった。黄瀬がひょいっと近くにいた苗字に向かってボールを投げたのである


「…おや?」


『え?』


「名前ちゃーん!シュートシュート!」



桃井からの言葉にハッとした彼女はボールをしっかりと持った

彼女が試合でシュートを狙うのは初だった。先程の3on3ではゾーンに入った彼らについていくのが必死だったためシュートを2人に任せっきりだったのである。それは今回も同じ

みなの視線が彼女に集まり、重圧と疲れで心臓が激しく動く。先程試合での緑間のシュートを思い浮かべながら彼女はシュートを撃った

綺麗なループを描く彼女が放ったボールは綺麗にリングを潜った





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