第7章 帝光へ
彼女から見て体育館の中は輝いていた。何がと問われたら返答できるわけではないのだが何かがとても、輝いている
「おっせーよ名前、はやくこっち来い!」
動く様子がない苗字に黄瀬はポンッと軽い力で背中を押し「行こ、名前っち」と先に走り出して現バスケ部員に混じってる青峰の元へと行ってしまった
それでも彼女は彼の背中を追いかけようとしなかった。その輝いている空間に足を踏み入れることを躊躇った
人は白い布を見ると汚したくなると、どこかで聞いたことがある。白い布ではないが、この空間に入ることで何となく汚れてしまうのではないかと入る事さえも、拒否されているような気がした
「苗字?」
『…火神、君』
「お前黄瀬に着いてっちまったから黒子に先無事か確認しろって言われて来たんだけど…お前なんでこんな所突っ立ってんだ?」
『ちょっと…入りづらくて』
「そーか?卒業生でもねぇオレの方がよっぽど入りにくいと思うんだけどな…」
『…そう、だね』
しばしの沈黙の後に火神は先に中へ入り「ほらよ」と彼女の手首を掴み、体育館の中へと引っ張った
バランスを崩した彼女は手首を掴んでいた火神の腕によって咄嗟に支えられ倒れることはなかったが、苗字の頬が赤く染まった
『ご、ごごごごめんなさい!!』
「…いや、別に謝ることでもねぇだろ」
「おいおっせえよ火神!」
「はぁ!?お前らが勝手に行っただけだろ!?」
「いいから来いよ、テメーと1on1してぇって奴が何人かいんだから」
「最後はお前と勝負だからな青峰!っと苗字、お前大丈夫そうか?」
『…うん、大丈夫。火神君1on1?して来ていいよ?』
「サンキュ」
自然に頭をポンッと叩いた火神は先ほどの黄瀬同様コートへと走り出し、着いたらじゃんけんをしてバスケをし始めた
バスケなんて授業でしかやったことがないのに、その様子がとても懐かしく思えて目を細め近くの壁にもたれかかった