第7章 帝光へ
『じゃあつまり私は…バラバラになりそうだった「キセキの世代」を繋ぐために監督になった…って感じで良いのかな?』
「ああ、間違ってない」
彼女へは自分自身が消えたと言う事を隠して、辻褄をある程度合わせて中学時代の話をした所、何も知らない苗字はそれを信じて、彼らの話を脳に記憶し、はっきりと頷く
『高校以降の、話は?』
「そうだな…それはまた、誠凛に行った時にでも話そうか」
『…わかった』
口を尖らしてどこか不満そうに見える彼女には紫原が「みんなで行く約束が増えたね~」と頭を撫でながら飴をあげ、機嫌を無意識に戻した
『紫原君、これ何味?』
「わからないんだよね~」
『…?』
「なんて言うんだろー…味を当てる飴みたいな~?少し舐めると色が変わって何味かわかるんだよねー」
『へー…そんな飴あるんだね』
「まあ最初に割っちゃえば何味か分かるんだけどね~」
『そんな楽しみを奪うようなことするために開発者さんは作ったんじゃないと思うなー…』
ピッと袋を開けて何味か分からない飴を口に入れ、悩む彼女の様子を見ながら赤司は「3年生の教室に行こうか」と歩き始め、後を緑間が「待つのだよ赤司!」と言いながら唐突に将棋の勝負を話を始めたためか、声を荒げる
その様子を見て苗字は桃井からもらったノートに”赤司君とミドリンはよく将棋をしてた”ってメモを思い出し、目を細め笑った
「名前ちん、何味だった?」
『…リンゴ、かな?』
「へー…おいしー?」
『うん。美味しいよ』
「そっかー良かった」
また頭を撫でた紫原は彼女の手首を掴んで赤司達の後ろを追うように歩き始め、彼女は驚きを見せながらのんびりと覚えもない廊下を彼の後に続いた