第7章 帝光へ
「そう言えば、名前さんの髪色が変わったのも2年生なんですよ」
『髪色…?』
「あ、写真あるよー!確か…ホラ!名前ちゃんが2年生の時のお正月の写真!」
桃井の手の中にあるスマホには、少し画質が悪いが苗字が紫原のわたあめを食べている姿が写されており、彼女は「派手だね」と言って微笑みを浮かべて桃井から受け取ったスマホに視線を送っていた
ある程度見てから彼女は桃井にスマホを「ありがとう」と言って返し、それからふと思い出したように彼女は彼らに「ねぇ」と問いかけて一点を見つめていた
『あの、なんて説明すればいいんだろ…退院してからたまにね、数値が見えるの』
「…数値?」
『た、例えて言うならあのポケットにあのモンスターを入れる奴とか、RPGでいうHPとか…その人がどれくらい疲れてるか、とか…たまーに、なんだけど』
「それ、治癒の眼じゃねぇか?」
『ちゆの、め?』
「治癒の眼、ヒーリング・アイとも言われていますね。黄瀬君が名づけたその眼のことです」
『これ、治癒の眼って言うんだ…』
納得したのか彼女は大きく頷いてから「バスケ部で体調管理してたのも、それが理由?」と言って彼らの目を丸くさせた
それは桃井からもらったノートに書いてあったのが彼女の記憶に入っていたのである
「名前さんは…自分がどのような人だったと聞いているんですか?」
『詳しい事は私も知らないけど…帝光中で体調管理のマネージャーやって、その後監督になったんでしょう?
あと誠凛のマネージャーとか、特別チームのマネージャーとか…経緯とかは知らないけどね』
彼女の話を聞く限り、自分がどのように小中高と過ごしてきたのかはやはり桃井のノートによって大まかには理解できているようだった
経緯の説明について「話が長くなってしまうが良いか」と赤司が問うと苗字は「問題ないよ」と言って彼らによる話に耳を傾け始めた