第7章 帝光へ
会話を交わしながらようやく着いた帝光中の校門の前には他8人が既に集まっており、彼らを見た彼女はパッと笑顔を見せ、駆け寄ってきた桃井に自分も駆け寄って、「おはようさつきちゃん」と笑った
今までなら自分は待っていて抱きついてきた桃井に、今は少しそっけなく対応する彼女に黒子は驚きつつも「全員いますね」と人数を数え始めた
「おっはよー名前ちゃん!」
「…おはようなのだよ」
『あ、おはよう高尾君。緑間君も…あの、でも一つ質問いいかな』
「ん?なーに?何でも答えたげるぜ!」
『2人の後ろにある…その、自転車とリアカーは…』
苗字が指差す緑間と高尾の後ろには自転車と繋がれたリアカー、通称チャリアカーが邪魔にならないように置かれており、彼女の中で初めて見るそれは疑問の対象だったらしい
チャリアカーについていつから始めたのか、じゃんけんについて等ちゃんとしっかりと説明した高尾はおかげで脚力が上がったこともついでに教えていた
最後まで聞いた苗字はクスクスと笑いながら「いつか私もじゃんけんに参加するから乗せてね」と言って緑間を見たのだが、彼は「別にお前は乗ってるだけで良いのだよ」と眼鏡のブリッジを上げながら言ったのだが、高尾は「どーせオレが漕ぐんだろー」と緑間にわざと言っているようだった
そして全員の顔を確認した後、苗字は虹村がいないことに気がついた
『…今日虹村さんは?』
「虹村さんは今日はバイトらしいですよ」
『バイトかぁ…どこでやってるのか知ってる?』
「はい。今度一緒に行きますか?」
『うん。行きたい』
ふんわりと微笑んだ彼女に黒子は「じゃあ約束です」と同じく笑みを浮かべて、指切りを交わした
その様子を見ていた黄瀬が「指きりなんて可愛いっスね!」と笑ったのだが、黒子がそれに不満を抱いたのか「悪かったですね」と少しムスっとしながら返していた
そして、それから帝光中の敷地へと、足を踏み入れた