第48章 さよならを
『火神君』
「苗字、お前にまた会えて、その」
「耳塞いでた方がいいか火神」
「青峰君野暮ですよ。目を瞑って耳塞いでおきましょう」
「うっすら目開けちゃダメな感じ?」
「ミドちんなら眼鏡外せばなんも見えないっしょー」
「勝手に触るな紫原」
「だー!!そこうるせえ!」
先ほどまで近くにいたはずなのにいつの間にか距離を取っている彼らに真っ赤になっている火神が怒る
ああ、このやり取り好きだったなとしみじみ感じながら笑っていると、楽しいはずなのに、嬉しいはずなのに視界が歪んできた
『改めて、たくさん私と一緒にいてくれてありがとう火神君
もし次に会えたら、一緒にバスケしたいな』
「…ああ」
『私今はちゃんと過去の記憶持ってるんだけど、やっぱり赤司君じゃなくて火神君が好きなんだよね』
「…へえ?」
「赤司、押さえろ。押さえろって!」
「そう言ってる高尾君、楽しそうだね?」
「いやこれ普通に楽しいだろ」
「人の恋路ほどおもしれーもんねぇよ」
「ハハハ!灰崎も虹村さんもノってくれんなら間違いねぇな!」
「お前ら!!耳塞いでんじゃねーのかよ!」
「塞ぐわけないじゃないっスかあ、っだ!」
先ほど苗字が放っていたバスケットボールを火神がぶん投げると黄瀬に当たる
流石のコントロールだと今更なことに小さく拍手をすると、自分の手が透け始めていることの気が付いた
自分の記憶ではないが知っている。彼らが体育館に出たら消えるのか、願わくば自分の意思で消えたいと脳裏に映る人物に心の中で呼びかける