第48章 さよならを
「う…」
ふと目を開けると帝光中の体育館だった。先ほどまで屋上だったはずなのにどうしてこんなところにと、起き上がろうとしたところで聞きなれた音、ボールがネットを潜る音が聞こえてくる
音のする方向へと視線を向けると藍色の苗字がシュートを放っており、周りには先ほどまで一緒に屋上にいたみんなも火神も横になっていた
「名前」
『あ、赤司君、おはよう』
夏祭りに言われた通り彼女が隠れている見つけたはずなのにどうしてまだいるのか
赤司が疑問に思っていると、シュートを撃つ行為を辞めた彼女がボールを捨て、ふんわりと笑った
『最後にね、お別れする時間くれたの』
「…そうか」
『赤司君が起きたならみんなもそろそろ起きるんじゃないかな、ほら』
彼女の視線の先に誰がいるのかと振り返ると、黒子が手をついて上体を起こすところだった
続いてどんどん横になっていた彼らが目を覚まし始めるが、火神だけが起きる気配がない
苦笑いを浮かべながら苗字が彼に近づいていき、身体を揺すりながら声を掛ける
『火神君、起きて』
「…あ」
ゆっくりと目を開けた彼は視界に苗字が入ると先ほどみんなが居なくなったことを思い出し、ガバッと勢いよく上体を起こす
「さっきのやつなんだったんだ。あいつらが消えて、時間が止まってたあれ」
『もうみんな戻って来たよ火神君』
「…うお!お前ら!」
「ちゃんと名前さんの事は見つけてきました」
『うん。みんな正しい手順を踏んで、ちゃんと彼が隠したあの子のことを見つけてくれた』
「よかったオレら頑張ったんスよ!」
『だから火神君、お別れしよ』
火神だけでなく、体育館にいるみんなの表情が消える
彼女も自分が消えることは気にせず探してほしいと言っていたし察していた。だから知っていたはずなのに、いざ言われると悲しくなるのは何なのだろう
手を差し伸べ火神を起き上がらせた彼女は自分に視線が集まったっていることに気付いており、彼らの方を向いた