第47章 どうやって帰る?
気が付くと景色が体育館に戻ってきていた
棺に入れられた苗字を囲み座り込んでいる黒子たちを赤司が見つめながら
先ほど毒りんごを食べたばかりなのに劇の展開が進んでいるなと戻ってきたばかりだがやけに落ち着いている脳で考える
小人役の彼らも少し混乱しているらしい。だがここは台詞がなく泣き真似をするシーン、特に問題ないだろうとしばらく経ったところで赤司がステージ出ると、客席の女子から黄色い声が上がった
「どうしたんだそんな泣いて」
「…お姫様が、死んでしまって」
「姫?」
赤司が棺を覗き込むと中学生の苗字が眠っている
自分の中ではつい先ほどまで一緒に過ごしていた彼女と同じ見た目で、寝ているような彼女にあの春休みの病室を思い出しまた脳がぐらついた
「なんと綺麗なお姫様だ。まるで眠っているようだ」
向こうの世界に比べて質素な棺に手をかけ、顔を近づけた
体育館は静かで、観客も小人も、いる人の視線すべてが赤司と苗字に向いている
フリのはず。本当にそう思っているのかわからない彼女の唇に自分の唇を重ねた
「いい加減起きてくれないと、困るよ」
小声だからきっと苗字にしか聞こえていないその言葉の意味を彼女は分かっているのか、それとも驚いて聞こえてすらいないのか分からないが、赤司に支えられ彼女は起き上がる
後方にいた大きすぎる小人がその様子を見て笑顔を浮かべ、立ち上がった
「白雪姫が起きた!」
元々の動きと違い、大きな小人(笑)に囲まれた苗字は訳も分からずあたふたとする
その隙に抱えて持ち上げ、困っている様子の彼女をみながら不敵に笑った
「美しい姫、どうか私と結婚していただけますか?」
『え、あ、はい』
客席からの歓声や指笛の音が響く
どうしてこんなに盛り上がってしまったのか分からないまま赤司に降ろされ、スタンディングオベーションしている観客を見る
ナレーション役の人の声がスピーカーを通して響き渡り、めでたしめでたしと劇が終わったところで一礼をするとより大きい拍手が沸いた