第46章 白雪姫
苗字が消えるの夢を見るのは初めてではない
上体を起こしながら溜め息を吐いて前髪をくしゃっと掴もうとすると、赤司の肩の辺りでジャラッと金属の音が鳴った
「…どういうことだ」
童話に出てくる王子のような自分の服装を見て、彼は白雪姫の舞台をやっていたことを思い出す
そのはずなのに周りには木しかない。体育館にいたはずなのにと顔を動かすと、視界の端で草が揺れる
何かと身構える彼の目の前に、見慣れな服装をまとう見知った顔が現れた
「赤司!赤司じゃねぇか!!」
「虹村さん」
「マジで焦った~なんだよここ。天国か?」
「天国だとするなら興味深いですが、服装からするにここは白雪姫の世界じゃないかと」
「白雪姫?」
「劇の途中で名前が毒りんごを食べたところで意識が失ったので、まあそう言うこともあり得るかなと
こんな格好、王子以外しないじゃないですか」
「…まあ、いや…マジか?」
ただ学年が違って役がなかった虹村がいることは予想外
落ち着いている様子の赤司に対し、焦って周りを探していた自分が照れくさくなってきて頬を掻く
妙に似合っている王子様姿の彼を見てから身に着けている衣装を比べ、なるほどなと溜め息を吐いた
「…ならオレは赤司の従者ってことか。馬じゃねぇだけマシだな」
「馬だとしたらケンタウロスみたいになるんですかね」
「ケンタウロスってなんだ」
「ギリシャ神話に登場する上半身が人間で下半身が馬の生き物です」
「…ぜってえ嫌だ」
背中や肘についた土を払い、周りを見るがどこまでも木
遭難したらどこにいるか分からなくなりそうだと、日本なのかどこかも分からない中勘でとある方向へと足を向ける