第6章 退院と
その帰り道、赤司は彼女を送って帰ると言って先ほどのメンバーと別れた
しかし、2人きりという空間に”赤司に嫌われている”と勘違いしている彼女は不安そうな顔をしていたが、心配せずとも空気が重くなるわけではなく、ごくごく普通に会話を交わしていた
そんな空気が良い雰囲気が途切れたのは、赤司が彼女に「火神の事が、好きなのかい?」となんともドストレートにデリカシーもなく聞いたからだった
『えっ、あ、ち、ちがうよ!!?』
「…違うのかい?」
『あ、いや、違う訳でも…ないけど…』
顔が赤くなってる苗字は自分が今何を言ったのか理解したようで、視線をあちらこちらに泳がせながら荷物を持った両手を胸の前でギュッと握り締めて、最終的には咳払いをして何とか赤司にその質問をされる前に近い状態まで戻した
泳がせていた視線を赤司に向け、何かを決意した彼女は彼に「い、いい、いつから気づいてたの!!?」といつもより声を高くしながら問いかけ、気まずさを感じたのか視線を地面へと向けてしまっていた
「名前を見ていれば分かるさ、すごく幸せそうな顔をしていたからね」
『そ、そんなこと』
「あるさ」
赤司のその一言で彼女の顔はまた真っ赤になりながら後ずさりをし、頬に手を当てて顎を引き、道路の端っこに小さくなってしゃがんでいた
彼女の様子を見て赤司はクスクスと笑いながら近づいて、暗闇の中唯一照らす電灯の光で彼女の頬の赤さを見ていた
「告白は、しないのかい?」
『こ、ここ告白なんて、恐れ多くて…』
「きっと上手くいくと思うんだが」
『え、ええ!?』
「いいじゃないか、告白してみるといいよ」
『う、うん?』
「応援するよ」
ふわりと笑みを浮かべている赤司に苗字はしまった。と先程の自分の返事を後悔しているのか、深い溜息を吐き猫背になっていた
しかしそれを撤回することは彼の表情を、否雰囲気を見て不可能だと感じ取っており、諦めたのか再び丸くなってうずくまっていた