第40章 ここってもしかして
『苗字名前です。ミニバスでスコアの記録とドリンク作りとかやってました』
入部したマネージャーは1人ではないにも関わらず、苗字は1軍を主に見るマネージャーに抜擢された
別に誰かが手を引いたわけでもなく、監督かコーチの采配である
この世界に来て初めて苗字を見る虹村がそっと赤司に近寄り、小声で話しかけた
「本当に当時のまんまだな」
「ええ」
「つーかアイツあんなに髪黒かったか?」
「昔は綺麗な黒髪でした。今も綺麗ですけど」
「あーはいはい。そーだな」
当時桃井は1軍付きではないため、後々かわいい子がいると噂になっていた
だが青峰と幼馴染という噂で身を引いていく人物ばかりだったことは記憶に残っている
苗字もノリが良く明るい彼女に密かに惹かれている人物がいた
けれど文武両道を超えた赤司が一緒にいたから桃井と同じような感じで身を引いていた人物がいたわけで、今回この世界でも同じような形になるのではと虹村が推測する
「気を付けろよ赤司」
「ええ。現実じゃないにしても、譲る気はないので」
「…ほどほどにしとけよな」
マネージャーの挨拶が終わったところでコーチから今日の練習メニューの説明がある
白金監督も新入部員が気になるのか見に来ており、気がついている人は何人いるのだろうかとすべてが懐かしい光景を視界に入れながら、思うように動かない身体を動かす
途中途中同じ誰かと目が合うと首を横に振っていた。思うことはみな同じらしい
そんな練習を終えてモップを掛けて終えると、綺麗な黒髪を揺らしながら苗字が寄ってくる