第39章 いってらっしゃい
火神と帝光に向かうと、校門の前に人だかりが出来ていた
中心にいるカラフルな髪に気付いた苗字が苦笑いを浮かべ近づいていくと、女子に囲われる中黄色い瞳がこちらを向く
「あ!名前っち!火神っち!」
「やっと来たか。待ちくたびれたのだよ」
『ごめんね、遅かったかな?』
「時間ぴったりだよ!大丈夫!」
どうやら周りにいる人だかりは集まっている理由が違うらしい
イケメンを見つけてきゃっきゃと喜んでいる女子と、歴代最強と言われた帝光バスケ部が集まっていることに興奮している男子、何の人だかりかと様子を見ている人もいる
さすが卒業生で雑誌にもよく掲載されている人物は違うなと遠巻きに見ていると火神も巻き込まれ始め、桃井と端に避けているところに黒子と赤司が現れた
「ちょうど良かった。揃っているね」
「おう、終わったかー?」
「来校手続き終わって鍵も貸し出してもらえました。行きましょう」
「あれ、今日練習休み?」
「体育祭が近いからね、休みだそうだ」
「この暑い中体育祭とかよくやんね~」
「楽しかったけどな」
「暑かっただけだろ」
「応援もせずサボってたもんな、灰崎」
「…虹村サンとは別の組だったしいいだろ」
そう言えば毎年新体制になったばかりの頃に体育祭があったなと思い出していると、校庭では生徒が練習や準備で忙しそうで、なんだか懐かしい気持ちに駆られる
彼らの光景を見ていると知らぬ間に赤司が段々と後ろに下がってきて苗字の前を歩き始めた
「隠れている場所、勝手に体育館だと思っていたんだが」
「オレ劇をどの体育館でやったか覚えてないっス」
「あ、すみません。何も考えず1軍体育館の鍵借りちゃいました」
『大丈夫だよ。行こう』
中学生からの注目を浴びながら体育館へと進み、黒子が慣れた手つきで開けると何も変わらない体育館がそこにあった