第38章 存在は
様々な味のアイスを食べ終えて時間を確認すると待ち合わせの時間まであと1時間強
食休みしたら向かうかと机の上が綺麗にしてくれた店員さんにお礼を込め会釈をし紅茶を飲んでいると、火神がどこからともなく可愛くリボンでラッピングされた袋を出してきた
「…やる」
『え?』
「前回消えるとき何も渡せなかった、から」
『え、クリスマスプレゼントも、リスもらったよ?』
「それとこれとは違うだろ」
『…だから、私に?』
「ああ」
『ありがとう。開けてもいいかな?』
ぶっきらぼうに肯定の返事をする火神からの回答にテーブルの真ん中に置かれた袋に手を伸ばして、袋を開ける
中には白色のシュシュと髪がサラサラになると有名な櫛が入っており、あの大晦日同様驚いたと同時にほわほわとあたたかい気持ちが心の奥から湧いてきた
『いつ買ったの?』
「迎えに行く前にな」
『そっか…つけてもいい?』
「おう」
髪を後ろで1つにまとめシュシュを通す
桃井がよくしている髪型だと彼女の事を思い出しながら手で触って変なところがないか確認して顔を横に向け、火神に見せた
『似合うかな』
「ああ」
『結んでた方が涼しいね。ちょうどいいかも』
屋内だから少ししか違いが分からないが、屋外に出ればもっと違うだろうと手鏡で確認しようとするが後頭部のため上手く確認できない
あとでどこかの鏡で確認すればいいかと手鏡を仕舞い、紅茶を飲み干した
「そろそろ行くか?」
『そうだね、行こっか』
立ち上がり、荷物をまとめた2人が歩き出す
苗字の髪を結んでいる先ほどあげたばかりのシュシュを見た火神が嬉しいのか恥ずかしいのか耳を赤くしていたが、彼女はそれに気が付いていなかった