第37章 揃ったピース
『いいよ。行こっか』
「…すまないね」
『ううん、気にしないで大丈夫だよ』
「高尾も連れて行って大丈夫か?」
『平気だよ。みんなで行こう』
「このメンバーで役割は足りていますか?」
『うん。大丈夫』
「その役割は誰が決めてるんだ?」
『決めてるのは2号…かな』
「なんで2号?」
『そりゃあの2号、は』
高尾からの問いに答えようとした彼女が耳を押さえる
赤司と火神は見たことがある。話しては消えてしまうことを口にしようとすると耳鳴りがするんだと言っていたことを思い出し、聞くことがタブーなのだと察した
『ごめんね。話しちゃだめみたい』
「…そうか」
「そんで、オレらはいつ帝光に行けばいいんだ?」
「なるべく早めだと助かるんだが」
「今からは?」
「開いてないですし流石にまずいです。通報されかねません」
「この人数の昼間の予定を合わせるんじゃあ…相当先まで合わないんじゃねぇの?」
「ちょうどリーグ戦の真っ只中っスもんね…オレ明日午後なら空いてるんスけど」
「あーオレも空いてるー」
「え、待ってオレも明日練習なくなったんだけど!」
「あー…オレも明日午前練だな」
「え?みんな午後は空いてるってこと?」
「オレバイトで忙しいんだけど」
「ああ?暇くらいあるだろ灰崎」
「いやマジ高校生が文化祭とか体育祭とかで休んでるとこに打ち上げが入ってて」
その瞬間、灰崎のスマホから独特な着信音が鳴る
会話が止まり、席を立った灰崎は少し離れて通話を始め、しばらくすると唖然とした様子でスマホを握りながら戻って来た