第5章 彼女の想い人
火神からの了承の言葉を聞いた赤司は「礼を言うよ」と言って笑みを浮かべて、盗み見ていた女性陣を見事にイチコロにした
だがそんなことに気づかない彼はゆっくりと目を閉じながらため息を吐いて、飲み物を飲んだ
「でも、まだ名前さんが火神君に告白するとは決まったわけじゃ…」
「ううん…多分すると思う。勘、だけど」
「桃井さん…」
「…オレが言うのもアレかもしれないが、火神とオレを重ねているならもしかしたら…いや、必ず火神の事をオレの名前で呼ぶことがあるかもしれない
それでもお前は怒らず傷つかず、いられるか?」
「任せろっつの、楽勝だ」
ニッと笑った火神に赤司は笑みを浮かべながら「だからと言って無理矢理なんかいかがわしい事したらどうなるか分かっているだろうね」と言い、火神の笑みをすぐに解かせた
その言葉を聞いた火神は「やっぱ赤司は赤司だな…」と思ったのか溜め息を吐いた
「って訳で、今の内容をまとめてグループの方に送っておいてくれないか黒子」
「なんでボクなんですか」
「オレが言ってしまったら決定事項みたいだが、黒子が言えばアイツらも質問し易くなると思うんだが」
「別に今更もう赤司君に遠慮なんてしませんよ」
「そうかい?でもまあ送っておいてくれよ」
「…わかりました」
そう言った黒子はスマートフォンを取り出して、少しぎここちないながらも某無料アプリからグループを開いて大体の内容を打ち、メッセージを送った
いくつかの質問が黄瀬だったり緑間から来たが、彼らの質問に丁寧に答えていくとどうやら納得してくれたようで、黒子の画面には既読6と、スタンプが示されていた
そんな彼の仕事に赤司は「礼を言うよ」と言って、携帯画面を見ていた
彼の横顔は、どこか泣いてしまいそうな表情に見えた