第35章 なんでいる?
目を開けると長い廊下だった。見覚えのあるそれは寮の廊下で、いつもならいる苗字の姿がなく探す
しばらく歩いていると自分が3年生の時に過ごしていた部屋の扉を見つけ、いつもなら開かないはずの扉を開けると髪を乱しうつ伏せでぶっ倒れている女がいた
一瞬驚いたが流石に2度目、悲鳴を上げずに彼女の横にしゃがみ座り込む
「おい」
『う、ま、ゆずみさん?』
「驚かせんなよ」
『…おはようございます』
立ち上がった彼女は髪を整え始めたが、髪の中間あたりのところまで手櫛をしたところで動きが止まる
そんな苗字の脳裏に今と同じような光景の映像が流れていた
自分が知らないはずなのに叫ぶ黛と隣りの部屋の男子とのやり取りを思い出し、その他記憶がふわふわと浮かんでくるように彼女の脳裏に浮かび、微笑んだ
『こんなこと前もありましたね』
「…覚えてんのか」
『今思い出しました。それで屋上とここ行き来出来るようになって、その後体育館と黛さんの周りウロウロしてましたね』
だがどうやって消えたのかも赤司とやり取りした体育館の記憶もまだ戻ってきていないため、恐らく全てではない
髪を整え終わりスカートを直している彼女の横を通り過ぎ、黛が引き出しを開ける
筆記用具など中に入っていたものを机に出すと、奥からクリアファイルに入れられている2つに折られたルーズリーフを取り出した