第35章 なんでいる?
「灰崎が他の人の技を奪うせいでみんなうまく乗れなくなっちまった」
「いーじゃねえか、乗り放題だろ」
『もう終わり?』
「日落ちて来たしな、シャワー浴びて着替えて来る」
「苗字、一緒にシャワー浴びるかぁ?」
「てめ…何言ってんだよ!」
「…ジョーダンに決まってんだろーが、何本気にしてんだ火神」
「いいから早く行ってきてください」
黒子が2人の背中を押す様子を苦笑いを浮かべる苗字と無表情の紫原で見送り、振り返ると空の端の方がオレンジ色に染まってきている
良く知っているその色に微笑みながら彼らは紫原のお菓子を買いに行くためコンビニへと歩き出した
段々落ちてくる夕日によって、前を歩く藍色の髪がオレンジ色に照らされているのを黒子が目を細めてみる
「名前さん」
『うん?』
「ボクらの探し方は、合っていますか?」
『…うん。合ってるよ大丈夫』
藍色の瞳が欠けた月のような形になる。柔らかく微笑む彼女の笑い方が探している彼女と重なり、何とも言えない気持ちが込み上げてきた
消えてしまうならもちろん彼女を探すが、どう足掻いても消えてしまう目の前の彼女はどう思っているのだろう
気づかれないよう下唇を噛んでから、紫原と並び歩く彼女を追いかけた