第35章 なんでいる?
「少し歩きましょうか」
「喧嘩見ててもしょーがないしねー」
『戻ってきたら仲直りしてるかな』
「無理だと思います」
苗字に紫原と黒子が手を差し伸べ、その手を取り立ち上がる
思ったより砂が沈み、バランスを崩しそうになったが2人の手のおかげで倒れることなく立ち上がれた
そのまま3人並んで砂浜を歩いていると、足だけ海に入れて海水を掛け合って遊んでいる同じくらいの年のグループが目に入る
その様子を見た紫原が何かを思い出し、まいう棒を1口かじってから話始めた
「そういえば海で名前ちんと遊んだねー」
『どの遊び?』
「投げるやつ」
「抱えて飛ばす奴ですか」
『緑間君が助けてくれた奴かな?私じゃないけど怖かったの覚えてるよ』
「やりたかったら投げるけどどーする?」
『着替えないから…今日はダメかな』
「黒ちんはー?」
「ボクも着替え持っていません」
「ふーん」
やりたいのかと思ったが別に残念そうでもない紫原の表情を横目で見つつ、そのまま歩くと黒子が何かを思い出したように足を止める
つられて苗字も足を止め黒子が見ている方を見ると、もちろん海が広がっていた
「あのあたりで名前さんに溺れてるの助けてもらった気がします
助けたあと代わりに溺れていきましたが」
「よく覚えてんねー」
『泳げないからね、私もあの子も』
「体質ってことですか?」
『私はあの子の想像の産物だから、あの子が出来ないものは出来ないよ』
またも黒子の中で納得した部分はあった。本来の、橙色の苗字の記憶があるせいなのか分からないが以前に比べて明るいし活発な気がする
それは関係するのだろうかと思いながらUターンをして戻るとちょうど火神と灰崎が海から上がって歩いているところと鉢合わせた