第34章 ここで彼らは
バスに乗って1番後ろの座席に座った黄瀬はふと考える
あの時戦った相手は青峰で、話をしたのは黒子と苗字
行くとなればそのメンバーで行くのではと思っていたので、別に珍しくないメンバーだが中々会おうとしない3人だと、横に並ぶ2人を見ながら思っていた
「オレ黒子っちか青峰っちと一緒にされるかと思ったんス。あの時戦ったの青峰っちだったし」
「赤司が手間がないようまとめただけだろう」
「まー確かに電車とバスで行く距離をわざわざ2回に分けていくのも大変だもんな」
「まさか卒業してもあの宿に泊まるとは思ってなかったのだよ」
「オレも真ちゃんにあのライオンとまた間違われると思ってなかったわ」
「ライオンってなんスか?」
「宿の大浴場にライオンがあって口からお湯が出てくるのだよ」
「真ちゃんそれとオレを間違えて話すんだよ。おもしれーからいいけどな」
容易に想像がつくその様子を脳裏に浮かべ、昨日の様子を話していればあっという間に高校1年生の時に開催されたインターハイの会場へとたどり着く
平日のためか盛り上がってはいないが、黄瀬にとっては高校に上がって初めて自分以外のキセキの世代と戦った場所でもあり、思い出深い場所だ
「さ、名前っちと会った場所行こ!」
「真ちゃんと違って泣いたりしねーのな」
「泣いてないのだよ!」
「だって名前っちがいるなら早く会いたいじゃないっスか!早く早く!!」
軽い足取りで向かう彼は階段を上り歩いて、見晴らしが良いところで立ち止まる
手すりに手を添えて、あの時と似た風景を見ながら左耳にあるピアスを触った