第34章 ここで彼らは
徐々に上がってくる意識、目を開けると今日は晴れ渡った空が視界に入る
最近は洛山のどこかがランダムで選ばれているようで、いつもいる人物を探すと柵に寄り掛かった状態で器用に寝ている薄灰色の髪の男がいた
『黛さん』
声を掛ければ彼はいつも通り目を開け苗字を視界に入れる
寝ていたのだから「おはようございます」と声を掛ければ「こっちは寝てるんだよ」といつものように返され、立ち上がった彼は周りの様子を確認し、手すりに寄り掛かった
「…毎日毎日飽きねえな」
『自分の意思で出て来てるわけではないって話前もしましたよね?』
「もう2週間以上お前とやり取りしてるんだから嫌になるに決まってんだろ」
『しょうがないじゃないですかどれだけ話しても征十郎が見つけてくれないんですから』
こちらは黛の夢でしか意識を持てず、今どのような状況になっているのかも彼から聞くしか方法がない
ちなみに彼も赤司からどういう状況かを無視していようと連絡が来るため知っているだけで、こちらから連絡することは稀である
「お前にとって思い出深い所って、どこだ」
『…帝光か誠凛とかじゃないですか?あとはウィンターカップの会場とか…』
「全部回ったって来てる」
『そう言われても…あーナッシュとかと戦ったバスケコートとか』
「行ってるってよ」
『どうすれば…』
細かい場所を上げればまだまだあるが、自分たちの知らない彼女の行き先があればキリがない
どうすればいいだろうと赤司も同じようなことを言って、珍しく弱音を吐いていたことと聞いてほしいと言っていたもう1つの事を黛が思い出す
「あとは、役割について何か知らないか聞いてほしいってよ」
『役割?ポジションじゃなくて?』
「…ポジションなんか既に決まってんだろうが」
『それは誰から?』
「赤司。火神が今の向こうのお前から聞いたって共有あって、それが分からねえって」
『いや本当に…役割とかちょっと、ピンと来ないですね…』
役割とは何なのだろうかと考えていれば、遠くから機械音が聞こえてくる
それと共に目の前の風景が薄れていき、世界から消えるときのように意識が飛んだ