第34章 ここで彼らは
最寄り駅で降り目的地へと歩いていると、反対方向から目立つ長身がお菓子を食べながら歩いてきて、気が付いた彼らの表情が変わる
「お、紫原」
「峰ちん、さっちん、やっほ~」
「ムッ君今日練習じゃなかったの?」
「ちょっと時間出来たから見に来ただけー」
「本当?!いた?」
「オレが回った感じではいなかったかなー…ロッカールームとか探せばいるかもねー」
「ロッカールームに隠すかあ?」
「あり得なくないだろうけど…そこにはいない気がするなあ」
サクサクとお菓子を食べ進める彼はゴミを仕舞い、代わりに次のお菓子が手に取られる
「ま、とりあえず行ってみっか」
「うん。オレが見落としてたらごめんねー」
「ムッ君練習頑張ってねー」
大きく手を振る桃井に対し、ゆるく手を振る紫原が去っていく
紫原が見落としている可能性だってゼロではないが、それを言い始めたら最初に探した帝光からなにか見落としがあったんじゃないかと不安になってしまい、桃井が思わず立ち止まった
「さつき、行くぞ」
「ちょっと!待ってよ大ちゃん!」
自分の事を置いていこうとする幼馴染を追いかけていくと、青峰が黒子にシュートを教えた場所で、彼女の存在を認めた場所へとたどり着く
だが辿り着いたとて彼女の姿はなく、キョロキョロと視線を動かした青峰は眉間に皺を寄せた
「…いねえな」
「ここでも大ちゃん殴られたんだって?」
「何で知ってんだよ」
「ほら!そんなこと気にしないで!次行こ!!」
結局紫原の言う通り屋内にも苗字の姿はなく、この間回ろうと思っていて回れなかったストバスコートを巡る
それでも見つからない彼女の存在に彼らは焦りを感じながら、最近毎日のように動いているグループに報告をした