第34章 ここで彼らは
「私名前ちゃんがいないだけで、あんなに変わると思ってなかった」
「…そーだな」
「バスケしてない大ちゃんとか…おかしいよね」
「おかしいってなんだ」
「中学も高校も、引退してもあんなにバスケしてたんだよ!?」
中学時代なんかは帰りにストバスに寄って、帰ろうと言われても黄瀬との1on1を止めずに日が暮れてしまったものだと懐かしむ
だがもう1つ。青峰も、紫原も、黄瀬も練習に来なくなり、黒子が不登校になってしまった認めたくない記憶があるのも事実で、動こうとしない目の前の彼を見て桃井が自分の腕を反対の手で掴んだ
「ねえ、大ちゃん」
「あ?」
「名前ちゃんがいた世界といない世界、どっちが本当だと思う?」
「…つまんねーこと聞くんじゃねーよ」
「まあ、名前ちゃんがいる方だよね」
否定しないということはそういうことだろうと腕を掴んでた手を解き、青峰の隣に立つ
しばらく何かを見つめていた彼だったが、満足したのか小さく息を吐きズボンのポケットに手を突っ込んだ
「いねえな、東京体育館行くか」
「明日きーちゃんとミドリンと高尾君でインターハイの会場のあたり行くっていうから、そっちで見つかるといいね」
「グループで話してた時から思ってたけど何なんだその面子」
「秀徳と合宿してた時に名前ちゃんが戻ってきて、インターハイできーちゃんが記憶戻ったからそれで!この間みんなでウィンターカップ予選の会場見に行ったとき話したでしょ!」
「いちいち覚えてられっかそんなこと」
自分より長い足ですたすた歩いて行ってしまう青峰に駆け足で着いていき、息を切らした状態で電車に乗った