第34章 ここで彼らは
昼過ぎの太陽が照り付ける時間帯、今日も日傘を差す女性と日焼けした男性が並んで歩いている
赤司に忙しくなければいってほしいと頼まれたウィンターカップの会場へと歩こうとすると、隣を歩いていた幼馴染が思っていたのと違う方向へと歩き出し、驚いた桃井が腕を掴む
「ちょっと大ちゃん!私たちが頼まれたのウィンターカップの会場…東京体育館でしょ?」
「赤司が他にも気になるとこありゃ行ってくれって言ってたろ」
「もー…そう言うのは先に言ってよね、どこ行くつもり?」
「川」
「…まさか泳ぐつもり?」
「泳がねーよ!」
そうして辿り着いたのは帝光中からそう遠くない川沿いに辿り着き、土手から河原に降りた青峰は懐かしそうな瞳で何かを見つめる
「ここで、苗字にブッ叩かれた」
「え?」
「2年の全中の後、練習サボる前…苗字が監督になる前っつった方が分かりやすいか」
苗字が監督になったのを青峰が知ったのは少し後の事だが、そのタイミングでなったことを他のバスケ部員が教えてくれたので知っている
当時平手打ちされた痛くもない頬に手を当て撫でてから、行く当てもなく歩き出す彼に桃井がついていき、橋の下で立ち止まりどこを見ているのか分からない青峰に桃井が話しかける