第34章 ここで彼らは
結局そこで彼女の姿は見つけられず、先ほどとは違った意味の溜め息を黒子は吐いた
「まだ時間あるし、行ってないストバスコート見に行く?」
「ついでにバスケしよ!青峰っちと久々に戦いたいっス!」
「…来月リーグ戦で当たんだろうが」
「黒子っちとも高尾クンと戦ってないし!つーか早く1部きて!」
「まったく難しいこと言うなよなあ」
戻りつつストバスコートに寄ってみるかと彼らは歩き出す
唯一緑間だけがその場に留まって何かを見つめており、後ろを着いてきていないことに気が付いた高尾が振り返って彼を呼んだ
「真ちゃん、行こうぜ」
「…ああ」
1度目を伏せた彼は、開いた目を高尾に向け彼らの後を着いていく
いなかったのは仕方がない。だがあと思い出深い場所なんて数えるほどだと、彼の心に不安の影が押し寄せてくる
そんな気持ちを気づかないように、周りにいる彼らにバレないように移動しストバスコートに辿り着くと、体格のいい男がどこかで見たことがある犬とバスケをしており、ベンチにいる女性がうちわを仰ぎながら座って、それを見ていた
まさかいるとは考えてもいなかった人物の登場に彼らは足を止め、目をぱちぱちと瞬きを刺せる
「火神君、名前さん…2号も」
「…なんだお前ら」
「こっちのセリフっスよ!こんな暑いのになにしてんスか!」
「いや今からオレらもバスケしようとしてたけどな?」
「ちょーどいい、相手になってやんよ」
「3対3でちょうどいいだろう。受けて立つのだよ」
「何だよお前ら!つーか今苗字と…で、出かけてて…」
『私は大丈夫だよ火神君、さつきちゃんと見てるね』
「ワン!」
『ああ、もちろん2号も』
「だー!バスケが見たいとか何なんだお前!」
『さつきちゃんと喋っててもバスケは見れるよ。ね、さつきちゃん』
「…ふふ、そうだね」
荷物を置き早速バスケを始めようとする彼らだが、黒子だけが2号注視し見つめ合っている
それを桃井が頬に手を当てキャーキャーと騒いでおり、楽しそうだと笑った苗字は2号の脇に手を入れて持ち上げた