第5章 彼女の想い人
「あとは少し辛い話ですが…片親、という所でしょうか…互いに父親と1人っ子という境遇ですし」
「おや、黒子にそんな話したかな?」
「そこはお気になさらず…で、これが1番の理由ですかね
髪の色や個人的なイメージカラーが赤な事
まあ赤司君はユニフォームが中学も高校も白かったので白と言う人もいるかもしれませんが…大体の人は髪の色から赤と言うでしょう
恐らく彼女が「赤に惹かれる」と言うのも彼女が彼のイメージが赤だったから。と言う事でみんな納得が行くと思います」
「…意外と赤司君とかがみんって、変な所で似てるんだね」
「妙にお金持ちな所とかも似てますよね」
「それはどういう意味だい黒子」
「なんでもありません」
赤司からの謎の威圧を感じ取った黒子はそっと彼に向けていた視線をシェイクに向け、冷たいそれを飲んだ
そして彼はもう1つの仮説を話そうと、赤司からの威圧がなくなった所で口を開いた
「言い方は悪いかもしれませんが…名前さんは火神君と赤司君を重ねて見ているんだと思います
「赤を見ると懐かしい」と言うならつまり赤司君を見ても「懐かしい」と言う感情を抱いているのだと思うんです
けど…多分、赤司君が彼女を見ると悲しい表情をする事から「嫌われている」と考えた彼女は恐らく火神君と赤司君を重ねて…体が覚えているであろう感覚から好意を抱いたんだと仮説として立てました」
「へぇ…中々良い仮説じゃないか」
「流石テツ君!!」
「…つまり、苗字はオレを赤司と勘違いしてる…みたいな感じでいいのか?」
「恐らくですけど」
「ふーん…」
そう言いながら火神はチーズバーガーの袋を開け、再びリスのようにもぐもぐと食べ始め、彼を見ながら赤司は「…こんなにオレは食べないけどね」と苦笑いを浮かべ、黒子も賛同するように「頭も赤司君の方が良いですしね」と笑った
火神がそれに少し怒りを見せると赤司は「すまないね」と苦笑いを浮かべたまま謝った