第5章 彼女の想い人
「待てよ、苗字は赤司と付き合ってんだろ?なんでオレに…」
「忘れたのか、今名前の記憶が塗り替えられているのを」
「ちげぇっつの、アイツは「赤に惹かれる」っつったんだろ?ならオレよりも赤司の方が…」
「…「赤司君は私を見ると悲しそうな顔をするの。だから嫌いなのかなぁって思う」って名前ちゃん言ってたから、かがみんを…」
そう続けようとした桃井の言葉を黒子は「…もしかしたら」と遮って、彼らの視線を集めた
彼はその視線を誤魔化すようにバニラシェイクを飲んでから、ポツリポツリと話し始めた
「仮説、なんですけど…名前さんの身体とか、心の奥とかに赤司君の存在がいるんじゃないんですか?」
「心の奥?」
「高校1年のI.Hの時、黄瀬君が名前さんに「どっかで会ったことないか」と問いかけて、ピアスをあげたんです
緑間君も青峰君も、名前さんからもらった物を持ってましたし…もしかしたらそれと同じような状況なのかと…」
「…その可能性は、高いな」
顎に手を添えて考える素振りを見せる赤司は自分にも心当たりがあるのかどうやらそれを否定する気はないようだった
それを聞いた火神はクエスチョンマークを頭上に浮かべているようで、それを見た黒子は「相変わらず火神君はバカですね」と笑った
「赤司君と火神君は類似点が多いんです」
「類似、点?」
「まず、名前さんを甘やかしているところ」
「甘やかしてねぇよ」「そんなことないだろう」
「…事実火神君はクッキーをよくあげてますし、赤司君は中学の頃よく甘やかしていたでしょう」
その黒子の言葉に火神は「別に、アイツが喜ぶから…」と言いながら頬をほんのり赤くさせ、赤司に至っては図星なのか、黙り込んでから飲み物を口に入れた
そんな2人を見て桃井は「そういう所も似てるなぁ…」と関心しながら笑う黒子の事を見ていた