第33章 やるならみんなで
『一体何をすればいいんですかね』
「知るか」
『もー…現実の情報が分かるの黛さんだけが頼りなのに』
「そもそも聞いてきてねえだろ」
『じゃあどんな感じですか?』
「知らねえ」
『聞いたのに』
「赤司が色々駆けまわってるのは送られてきてるけどな、返事してねえ」
『してあげてくださいよ』
その返事に無視をしていると、ふといつだか藍色の苗字に出会ったことを思い出す
なぜ今まで忘れていたんだろうかと疑問に思いながら、その事実を彼女に話すことにした
「つーかお前、藍色に入れ替わってたろ」
『いや知らないですって、意識ないんですから』
「アイツはオレが選ばれてるって言ってたけど、なんか知らないのか」
『えー…本当に分からないです。黛さんと接点あるなんて知らなかったですし』
強い風がオレンジ色の前髪を上げ、ピンクと黄色が混じった不思議な瞳を太陽が照らした
いつか屋上で、教室で、一緒にいた時に見ていた時とそれに目を奪われていると、その瞳がこちらを向き黛を映す
『選ばれたってことは、何か意味があるんでしょうね』
「…そうだな」
その瞬間、いつもの機械音が世界に鳴り響く
一瞬驚いたように瞳を見開いたがすぐに不思議な色の眼は三日月の形に変わり、口元も弧を描いていた
『征十郎によろしく伝えてください』
「気が向いたらな」
『もう…頼みましたからね』
世界が薄れていく。瞼を開ければいつものように天井が映る
スマホから鳴っているアラームを止め、無視している赤司とのトークを開き、短いメッセージを送った