第33章 やるならみんなで
頭の上を何かが行ったり来たりする
それを感じ取れるくらいに意識が浮かんできて目を開けると、机に突っ伏している自分の体制に気が付く
顔を上げると見たことのある教室。カーテンが頬に当たり、先ほど頭の上を往来していたのはこいつかと無機物を睨みつけていると、いつもいる人物がこちらに歩いてきた
『黛さん』
「…暇そうだな」
『黛さんの夢の中でしか意識がないので』
きょろきょろと周囲を確認する彼女は見覚えのない教室に首を傾げながら、黛の座る席の隣の椅子に座った
『この教室は?』
「オレが3年の時の教室だな」
『教室もいけるようになったんですか?』
「…最初は屋上、その後オレの部屋は自由に行き来出来るようになった
その後体育館に急に現れて、オレの周りとその3カ所だけいれた」
『なんか死神みたいですね』
「死神?」
『ほら、名前を書くと死ぬノートについてる死神』
周りの人には見えないところ、とある人物の周りだけうろうろ出来るところがそっくりだと苗字は話す
なんでこいつとそんな死神のノートの話をしなければいけないんだと考えていると、またも風が吹いてきてカーテンが顔面に当たり、不快感が湧いてくる
邪魔なカーテンをどかしていると、隣に立っていたはずの苗字が机を挟んですぐそこにおり、何事かと驚いて目を見開いた
そんなことに気が付いていない彼女は黛の横の空いている窓に手を添える
『空いてるし出られるかなと思ったんですけど、やっぱだめですね』
「…そもそも夢の中なのに出てどうすんだよ」
『何か変わるかもしれないじゃないですか』
そう言われて自分もカーテンを押し窓に触れて見るが、やはり見えない何かがあり手を外に出すことは出来ない