第32章 可能性が高いところから
場所は変わって少し足を延ばしたカフェで、火神と苗字が席に着く
暑かった外に比べ涼しい店内。他の客はアイスやパフェを頼んでおり、食べたいものはみな同じかとメニューを開いた
『外暑かったね、私このクリームソーダにしようかな』
「…おう」
『火神君は何食べる?このスペシャルジャンボパフェ?』
「そうだな」
急に2人で出かけようと誘ってきた上、明らかに様子のおかしい火神に苗字が苦笑いを浮かべる
何か言いにくいことか秘密にしたいことでもあるんだろうと察している苗字が当たり障りのない話をしていると、クリームソーダとコーラが運ばれてきて、混ぜる前に乗っているアイスを1口食べた
『はー、冷たい。美味しい』
「…」
『火神君飲まないの?冷たくておいしいよ』
何か言いたそうだが言えない彼は何も言わずグラスに口をつける
それを確認してからストローでソーダの部分を飲むと独特な味わいと炭酸のぱちぱち感が広がり、いつか赤司に貰った口の中でぱちぱちする飴を思い出した
「今日あいつら…探しに行くって」
急な火神の言葉に苗字が顔をあげる。その情報は誰からかは言わないが既に知っていた
だから彼は今日会ってから様子がおかしかったのかと納得し、心配させないように、あたかも知らなかったかのように彼に問いかける
『そっか、何人で行くの?』
質問に指を折りながら行く人物の名前を言う。知っている苗字があがっていき、薬指を折ったところで、名前が止まった
「4人、だよな?」
『そっかあ』
メロンソーダについてきたスプーンでカラカラとグラスの中身を混ぜる
バニラアイスの白さとメロンソーダの緑色が混ざり、独特な色になっていく
その様子を見ながら、彼女はぽつりと呟いた