第32章 可能性が高いところから
結局彼らはマジバで昼食を食べ、誠凛へと辿りつく
校庭に足を踏み入れたが何も変わらず、そのまま校庭を探して教室を見に行ったが彼女の姿は見つからなかった
誠凛でも一番候補として高いのは体育館だと考えている
ボールの弾む音とバッシュのスキール音が聞こえてくるその場所へ向かい、暑さのこもる体育館の出入口で靴を脱いだ
「おはようございます」
「すみません。お邪魔します」
声を掛けると、コートの外に立っている女性がクルリと振り向き茶色の髪を揺らし、その隣にいる日向も汗を拭いながら振り向いた
「あら、黒子君から聞いてたけど本当に来たのね」
「ってことはいなかったのか」
「はい。すみません練習中にお邪魔しちゃって」
「いいのよ!その代わりに練習相手になってちょうだいね!」
「おー、帝光バスケ部主将2人が相手になってやろうじゃねえか」
「あら、そう言えば火神君と名前ちゃんは?」
「2人で出かけてます」
今日帝光と誠凛に探しに行くことを、藍色の苗字には伝えていない
もし探している彼女が見つかってしまえば、今いる苗字は消えることになる
だから1人にならないよう、火神にデートに誘うよう提案してみた
そんな先日の出来事を思い出しながら桃井がふうと溜め息を吐く
コートの中でミニゲームをしている彼らからの視線を浴びながら4人は用具室やステージの裏を探すため歩き出した