第32章 可能性が高いところから
「…何も起きないね」
「ここじゃないんですかね」
「まだ用具室とかあんだろ、探すぞ」
中に入りくまなく探すがやはり彼女の姿はない
黒子と苗字が出会った水飲み場や、赤司が6人目としての可能性を見出した3軍の体育館、あまり関係ないが2軍の体育館も確認するが見つけることが出来ず、赤司は顎に手を添える
「…1番確率が高いと思っていたんだが」
「まーオレらが3年間の中で1番過ごしたの、体育館だもんな」
「教室は毎年変わりますしね」
「桃井、女の勘は?」
「いない気がします…なんか、違う気がして」
珍しく赤司の憶測が外れたと1軍の体育館を見る。隠すならここだと思っていた
けどそれはあくまで自分だったらの話で、藍色の苗字が言う彼と呼ばれるもう1人がどこに隠すかは会ったことないから分からない
思わず奥歯をぐっと噛み、まだ候補は何か所かあると自分に言い聞かせ、悔しい気持ちを押さえつけた
「誠凛にも行きますか?」
「ああ」
「監督に連絡しておきます」
「おお、ついでに昼食ってくか」
「何食べます?」
「暑いのでバニラシェイク食べたいです」
「…夏でも冬でも食ってんだろ」
そうして彼らは体育館の鍵を閉め、職員室にそれを返す
次へ向かう誠凛にいてほしいと期待を抱きながら彼らは帝光を出て歩き始めた