第32章 可能性が高いところから
「家庭科室とか音楽室も行く?」
「可能性がゼロじゃないなら行った方がいいだろ」
「そうしたらプールも行かないといけませんね」
「ああ、黒子は合同授業だったかな」
「はい。溺れる名前さんを何度見たことか」
「そりゃ思い出深いな」
広い校舎を端から端まで確認したが特に女性が隠れている姿も見つからず、相変わらず何か変化があるわけではない
本当にすぐわかるのだろうかと不安な気持ちが心の奥で顔を出してきたが、それに気が付かないようにしバレないように黒子が息を吐く
「…いませんね」
「あと見てねえの体育館ぐらいか?」
「校庭も見てませんが、一応見てみますか?」
「…土の下とかに埋まってないよね?」
「すぐ分かると言っていたしそれはないだろう」
そう言いながら校庭に向かい分担をし探したが変わらず見つからなかった
ただ外でというより、校庭に隠れているとしたら驚きである
まあいないかとそこまでダメージを負わないままいなかったことを報告し合い、体育館に向かう途中に桃井がまだ見てない場所があることに気が付く
「忘れてたけど、部室も見てないよね」
「部室行ってみるか」
「確かに。虹村さんにとっては部室の前も思い出深いですもんね」
「…余計なこと思い出すんじゃねえよ赤司」
何の話をしているのか分かった桃井は苦笑いを浮かべる
卒業式のあの一件はみんな知っているが、虹村が圧をかけたことで話が広がることなく一部の人物しか事情は知らないあの事件
あれは間違いなく事故だったと、思い返せば自分の不注意のせいであんな事態になったんだと桃井が苦笑いを浮かべ思い返していれば、部室に到着する