第31章 彼女の存在
赤司より先に着いてしまったので連絡し席に着いて待つことにした
涼しくなってきたとはいえまだまだ暑さが残っていた外の空気、そのせいで喉が渇いたのでドリンクバーの飲み物を何杯か飲みつつ家から持ってきた小説を読む
しばらくすると店員に案内された赤司が黛の元へ歩き出した
「黛さん」
現れた人物に店内の女性の目線が赤司に集まっており、同席者である黛にも視線が集まり彼は不機嫌そうな表情をする
「すみません。お待たせしました」
「ああ」
「何食べますか、奢りますよ」
「流石にいい。自分で払う」
適当に注文しドリンクバーからアイスティーを取った赤司は優雅に飲み始める
彼が3日連続外食になっていることを黛はもちろん知らないため、頼んだものをやけにヘルシーなものだなと内心思っていた
「早々に申し訳ないですが、会って何もないので名前は眠っていないみたいですね」
「じゃあ事あるごとにオレの周りうろちょろすんなって言っとけ」
「今やり取りできるの黛さんだけだと思いますよ」
不満そうな顔をする黛に赤司がほほ笑む
なんだか先ほど駅で見た苗字の笑い方に似ている気がして、やっぱりこいつら似たもの同士なんじゃないかと誤魔化すように飲み物を飲んだ
「ついでにどこで眠っているのか聞いておいてください」
「あいつも分かって無さそうだけどな」
「そう簡単に教えてくれないでしょうね」
教えるも何も苗字自身がどういう状況か分かって無さそうだと今朝みた夢の中の彼女を思い出し、「そういえば」と黛が口を開いた
「あいつ、帝光の制服着てたな」
「帝光の制服?」
赤司の脳裏に昨日火神に伝えた眠っている場所の候補があがる。もちろんその中に帝光も入っていた
だがそんな簡単な答えでいいのかと疑問はあるが行ってみる価値はあるだろうと、早めに行くことを決意する
「今度帝光に行ってみます」
「ああ」
話している内にグラスの中の飲み物が空になってしまったので赤司がドリンクバーに再び飲み物を取りに行く
戻ってくると既に料理が運ばれてきておうたが手を付けず待ってくれていた彼に、先ほど飲んでいたものと同じ飲み物が入ったグラスを差し出した