第30章 久しぶり
「名前ちゃん!りんご飴もあるけど食う?」
『いいの?ありがとう』
「元々名前ちゃんのだしな」
それぞれ片づけを終え帰ろうとすると、先ほどとは逆方向に人の波が出来ている
帰るのにまた時間がかかりそうだと、迷子になりそうなのを不安に思っている苗字の手を桃井が握った
「私は迷子にさせないからね!」
「まるでオレが迷子にしたみたいだな」
『あれは運命だったんだよ。今回のための』
「…オレたちが赤司っちと名前っち2人で行かせたのも?」
『うーん、それはたまたまかな』
そんな会話をしながらゆっくり進んでいると屋台の通りに入る
花火が打ち終わったあとのせいか、売れ残っている商品を捌こうとする的屋からの声がやけに耳に入った
「焼きそばー!値下げ中だよー!!」
「焼き鳥10本の値段で今なら20本!」
「トルネードポテト3本で500円!!」
「買って来るね~」
ついさっきまで高値で売っていたのにとほとんどの人が屋台をスルーする中、紫原が列から逸れて購入し戻ってくる
だが進めば進むほど彼の腕の中に食べ物は増えていき、いつの間にか大きなビニール袋が腕に下がっていた
「ベビーカステラ!今なら大きいの800円!」
『あ、ベビーカステラ買おうかな』
「おみやげですか?」
『うん。雪さんに』
「私もおばあちゃんにベビーカステラ買ってこうかな」
『一緒に行こうか?』
「うん」
「オレも行くー」
そのまま購入し1つ手に取り口に入れると先ほど紫原が苗字に渡したものよりも温かい
同じように口に入れて飲み込んでから、待ってくれている彼らの所へ戻ると火神が紫原に負けないくらいの食べ物の入ったビニールを抱えながらイカ焼きを頬張っていた