第30章 久しぶり
「どうして藍色の名前さんが戻って来たんですか?」
『うーん…存在を空ける訳に行かないから私が埋めてるだけ?かな?
あとはみんなを見届けるため?』
「存在を空ける…」
『赤司君にも言ったけど、答えられることには答えるからね』
「答えられること?」
「…苗字が寝ていると言うのはその辺に寝ているのか?」
「ええ!どーすんスか緑間っち!そんなん襲われちゃうっスよ!」
「つーかそうなんと名前ちゃんこの世に2人いるってことになんねえ…?」
『大丈夫。もう1人は存在しているわけじゃなくて概念…?幽霊?みたいな感じだから分かる人しか分からないよ』
「公園とか屋上で寝てんのか?」
「大ちゃんじゃないんだから…」
変わらないやり取りに苗字が笑いながら「そういうのじゃないよ」と話す
唯一何も話していない紫原に視線を向けるとベビーカステラをもぐもぐと食べていてまたも彼女に笑顔が浮かび、口の中のものを飲み込んでから彼は口を開いた
「…名前ちんもベビーカステラ食う?」
『ありがとう。紫原君は相変わらずだね』
いつもと変わらない雰囲気をまとう紫原に空気が和らぐ
ベビーカステラを1つもらおうと手のひらを出すと、3つも乗せられてしまった
予想外の量に苗字が笑いながら空いている手で1つ取り、口に入れる
「でも名前ちゃんまた会えてよかった。あの時お別れ出来なかったから」
「そーっスね!あの時火神っちが迎え行ったから」
「火神君会えて嬉しいんじゃないですか?」
「ば、黒子!」
『私もみんなに会えて嬉しいよ』
「…名前」
『私の事は気にせず探してもらって大丈夫。もし合間に時間あれば遊んでね』
気が付けば周りの人は片付けも済み帰ろうとしている
自分たちもそうするかと彼らもゴミをまとめていると、別のところからまだ手を付けられていないりんご飴が1つ出てきた
それを見つけた高尾は、さっき赤司が戻ってきたときに置いていったものかと納得しながらそれを持ち、後ろで桃井と喋っている苗字に声を掛ける