第5章 彼女の想い人
赤司を見ながら桃井はどうしても伝えなければいけない本題を伝えようと、再び口を開いたが、喉が詰まったような感覚がして声が出せず、少し驚いたような表情を見せた
そんな桃井を見た黒子は彼女に「落ち着いてください。ゆっくりで大丈夫です」と言って彼女に向かって微笑みを浮かべた
どうやら赤司も黒子と同意見のようで、彼女の方を向いて同じように笑い、それを見た彼女は安心したのかギュッと握り締めていた手を解いた
「…名前ちゃん、「かがみんを見ていると懐かしい感じがする」って、「落ち着く」って言ったの」
「…」
「それで「これが、恋なのかなぁ」って優しく笑ってたの」
「…火神君、に」
「ねぇだから赤司君、名前ちゃんに自分が恋人だって伝えよう…?」
それを聞いた赤司は目を見開いてから閉じて、「そうか」といつも通り冷静な声で返した
「なぜ桃井に指図されなければいけないんだ」
「…え」
「恋愛に関しては名前とオレの問題だろう、口を出さなくていい」
「赤司、君?」
そう淡々と話す彼はいつかの彼とそっくりで、黒子と桃井は悪寒を感じて冷や汗を流した
それでも桃井は言いたいことがあるのか、「なんで…そんなこと言うの」と言って彼の目を見た