第5章 彼女の想い人
「すまないな度々。黒子は…桃井が呼んだのか?」
「うん…とりあえず2人に話しておきたいと、思って」
そう言った桃井は目を伏せてから自分の膝の上にある手を見つめてから、口を開けてゆっくりと話を始めた
「さっき、名前ちゃんのお見舞いに1人行ってきたの」
「元気そうだったか?」
「うん。かがみんからもらったって言うクッキーいっぱい食べてたし、普通に歩いてたよ」
「火神君のクッキー…またもらったんですか?」
「え?」
「この間誠凛の皆さんと虹村先輩と灰崎君と言った時に火神君がクッキー渡してて、それ確かその日のうち食べ終わったはずなんですけど…」
「このままだと名前の体重が増えてしまいそうだね」
「赤司君それ名前さんに言ったら殴られますよ」
それに赤司は「痛そうだね」と笑って返してから、桃井に「それで、本題は?」と真面目な顔で返して来て、桃井が緊張してなのか息を飲んだ
「名前ちゃんね、夕日によく見とれてるの」
「…夕日?」
「それで「夕日見てると懐かしい気持ちになるんだよね」って言ってた」
「それって!」
「思い出す手がかりなのか?」
その問いに桃井はフルフルと首を振ってから、彼らに目線を送った
だが気まずいのか再び自分の手に向け、当時の光景を思い出しながら口を開いた
『何でか聞いたら「赤に惹かれる」って、答えたの」
「…赤、とは」
「赤司君のイメージカラー…ですかね」
「うん。だから私ね、名前ちゃんに「赤司君は?」って聞いたんだ
そしたら名前ちゃん、「赤司君は私を見ると悲しそうな顔をするの。だから嫌いなのかなぁって思う」って言って、た」
「…そんな顔してたかい?」
「してました」
「それは…名前に悪い事をしたな」
そうバツが悪そうに呟く彼は誤魔化すように飲み物を口に含んで、飲み込んだ