第29章 りんご飴
「おねえさん、どんな人探してるの?」
「うーん…赤い、人?」
「ヒーローのレッドみたいな人?!」
『…どっちかというと敵、かも』
「えっ?!」
というよりもラスボスな気がする。というかラスボスだったんだけどと1人懐かしい記憶に浸っていると男の子が何かを指差した
「おねえさん、赤い人ってあれみたいな?!」
『あれはクモの力使って戦うヒーローだね』
「へーあっちは?」
『あれはー…最初からクライマックスなヒーローだね』
「あれは!?」
『3分間しか戦えないヒーローだね』
「わー!あれは?!」
『…土管工の、さらわれた姫救うやつ』
「全部違う?」
『違うかなあ』
なんでこんな勢ぞろいしているんだと笑っていると、男の子が自分が持っているりんご飴が赤いことに気が付いたのか「あ」と声を上げて苗字に見せる
「赤ってこれみたい?」
『ああ、確かにりんご飴みたいな色してるけど』
「りんご飴、好き?」
『うん』
「じゃああげる」
『え?いいの?』
「僕前歯ないから噛めないかもしれなくて」
『ああ…生え変わる時期か…いやなんで買った?』
「赤くてキラキラしてて、綺麗だったから」
分かる。最初同じ気持ちで惹かれたんだと幼い気持ちを思い出す苗字の表情が柔らかくなる
先ほども買ったから2つになってしまうと彼からりんご飴を受け取ると、男の子が首を傾げた