第29章 りんご飴
「追加があったらメッセージで送ってくれ」
「いってらっしゃーい」
『行ってきまーす』
仲良さそうに買い出しにいく彼らの背中を見た桃井と黄瀬が目を合わせてから楽しそうに笑う
そんな2人の笑い声が聞こえてきた苗字はなるほどなと息を吐いて、赤司の方を向き笑いかけた
『気を遣われちゃったね』
「名前は2人で回りたかったのかい?」
『どっちでも良かったよ』
「本当に?」
『ただこの先征十郎とは2人で来れるだろうけど、他のみんなと一緒に来れるか分からないからみんなで来たかったかな』
「…そうだね。誰かが卒業後はアメリカに行ってしまうかもしれない」
『そうなったら会う機会も少なくなっちゃうんだろうなー』
「まだチャンスはあるよ」
『そーね。申し訳ないけどあと2年みんなには国内にいてもらわなきゃ』
そうは言うが彼だってどうか分からない
将来の話なんてしても大丈夫なんだろうかと不安な気持ちを誤魔化すため苗字が赤司の手をきゅっと握ると、珍しいと驚いたのか目を丸くしてから、また微笑みかける
「最初にりんご飴いくかい?」
『タイミング見てでいいよ。人多すぎて飴ぶつけそう』
「りんご飴をぶつけられるのは困るね」
『ビニールかかったやつ買おうかなー』
「買ってあげようか」
『自分で買うよ。ほらみんなから頼まれたの買いに行こ』
先ほどより混んできたので屋台も人が並んでおり、それぞれ頼まれたものを購入していく
去年と違い本当に知り合いに会うことがなく、みんな就活や何かで来てないんだろうかと赤司と話をしながら最後に青峰から頼まれたケバブを買い、おつかいは完了した