第5章 彼女の想い人
"今から話したいことがあるんだけど、マジバに来れる?"そう病院から出た桃井が赤司にメッセージを送ると数分後、既読がつきある程度やり取りをした
その後"分かった。用事が済んだら向かおう"と返事が来た
そして同じ内容を黒子に送ると、彼は赤司より早く既読をつけて、"今から向かいます。場所はいつもの所ですね?"と返事が来て、肯定を示したメッセージを送ると了承のメッセージが届いた
それを確認した桃井は目を閉じてから、前を向いて、いつものマジバへと足を進めた
「あ、テツ君」
「すみません、お待たせしました」
「ううん、全然待ってないよ!」
「そうですか?ならいいんですけど…」
「うん!さ、中に入ろ?」
「はい」
そのやり取りを見るとまるでカップルのようで、普段の桃井なら「これってデートみたいじゃない!?」と顔を赤くする所だが、今日はそのような反応はせずにマジバの中へと入っていった
黒子はいつもと変わらずバニラシェイクを、桃井は期間限定というさくらんぼ味のシェイクを頼んだ
そして頼んだ物を受け取ると桃井が後ほど赤司が来る事を伝え、それじゃあと黒子が壁際の4人席に座った
「ちなみに話と言うのは…?」
「あー…えっと、赤司君が来てからで良いかな?」
「はい。ボクは全然構わないですけど…桃井さん時間は大丈夫ですか?」
「大丈夫!もう大学生になるんだよ?」
「年齢なんて関係ないですよ、女性が夜に出歩くのは危ないですから…」
「テツ君…」
心配する黒子に礼を言う桃井はそのまま世間話程度に会話を始め、少し盛り上がりを見せていた
するとそこに赤司が「すまない。待たせたね」と言って黒子の隣に席に自分の上着を掛けた
「赤司君、ごめんね急に呼び出して」
「いや、全然構わないが…とりあえず飲み物を買ってきてもいいかな?」
「うん。どうぞ」
そう桃井の返事を聞くと赤司は財布だけ持ちレジへと向かって歩き出した
その後ろ姿を見ながら、桃井は悲しそうな目をしてシェイクを口に含んだ