第28章 こんなこと前もあったよね
もう夕方に差し掛かっているにも関わらずアスファルトが滲んでいるように見える暑さ
額に滲み出る汗をハンカチで拭いてから、チャイムを鳴らすといつもと違う雰囲気をまとい、赤い髪飾りをつけた苗字が赤司を出迎える
『はーい』
「待たせたかな」
『いや時間ぴったりでしょ。流石だよ』
「準備は?」
『出来てるけど暑かったでしょ?少し休んできなよ』
「…そうさせてもらおうか」
『雪さんが麦茶冷やしてくれてるよ』
「ありがたいね」
言葉に甘えて家に上がると、今度はリビングで目をキラキラさせた雪が赤司を出迎える
「征十郎君…浴衣…着てる!写真撮っていい?」
「バレンタイン以来ですね、お久しぶりです」
「久しぶり!写真撮っていい?」
『なんか昔もこんな会話した気がする』
「すぐ終わらせるから!ね!」
押しが強い雪に勝つことができない彼らはそのまま和室に連れて行かれれる
2人をいい感じの位置に並べた彼女は満足そうに笑い、ポーズを撮らせた
「征十郎君との写真いつ以来…?中学の卒業式以来かしら」
「雪さんに撮ってもらうのはそれ以来かもしれませんね」
「名前ちゃんが留学しちゃったからね。準備出来たら撮らせてちょうだい」
サラリと言われたが新事実に苗字と赤司が目を丸める
消えた期間の辻褄はそうやって合わされていたのかとお互いが視線を合わせ納得していると、どこからともなく雪が立派なカメラを取り出した