第27章 おそろいの
少し遅めのお昼を食べ終え買い物をし、日が暮れてきたので彼女たちは待ち合わせした駅に戻り帰路を歩く
『あ、雨降ってきた』
「え!傘持ってない!」
『じゃあ折り畳み一緒に入って帰る?』
「名前ちゃん傘持ってるんだ、さすが」
『雲行き怪しかったからね』
そのまま雑談しながら歩いていると、公園の前でまた聞いたことある声が聞こえてくる
何かと桃井と苗字の2人で敷地に入ると、屋根のある丸型のベンチに座る背が高く目つきの悪い2人が見え、そこに駆け寄った
「大ちゃん!かがみん!」
『なんでここいるの』
「暇だったからストバス行こうと思ったら火神がついてきた」
「なっ!暇だから付き合えって言ったのそっちだろーが!」
「覚えてねーなあ」
「ああ?!」
『あー…それで雨降ってきたから雨宿りってこと?』
「怪我したら怒られっからな」
『傘ないならコンビニで買えばいいじゃん』
「すぐ止むかと思って待ってんだけどな」
「ちょっと待ってねー…」
苗字と隣に立つ桃井がスマホをいじり始めたので空いているところへと座る
雨がいつ止むかもわかるなんて便利だなと思いながら天気アプリを確認する彼女を待っていると、「あ」と小さく声を出してから彼女は顔上げた
「あと15分で止むかも!」
『じゃあそれまでここで話してようか』
「話すことなんてあんのか?」
「あ!さっき名前ちゃんが小金井さんと水戸部さんに会ってたよ!」
『たまたま鉢合わせただけだけど、就活用のシャツ買いに行くって』
「ふーん」
興味の無さそうな返事に苗字が「国内の同年代で相手がいないこいつらは就活なんて関係ないんだろうな」と羨ましい眼で見ていると、彼のカバンの中に黒とえんじ色のキーケースが見える
知っているその存在に彼女がそれを見つめていると、視線に気がついた火神がこちらを疑わしい目で見つめ返してきた