第27章 おそろいの
目的地へとたどり着いた彼女は季節毎にお店が変わる催事場へ行き、好みの浴衣を見つけるため店内を巡り始める
「最近ミニ浴衣も流行ってるね」
『足出てて可愛いよね。蚊に刺されそう』
「蚊に…虫よけスプレーすればいいんじゃない?」
『…まあ、選ばないけど』
「えー絶対似合うと思うんだけどな」
『さつきが着ればいいんじゃない?』
「着るなら長い浴衣がいいかな~」
『…似合うと思うんだけどな』
ミニ浴衣コーナーを無視し、一般的な浴衣コーナーの前に立つ
膨大な量の商品にどこから手を見ればいいのか分からない
今思い返せば去年行ったお店も小さいがかなりの規模があったのでこんなもんなんだろうと2人、端から見ていくことにした
「名前ちゃんこれ似合いそう!」
『ちょっとカラフルじゃない?』
「そんなことないよ!」
どうだろうと鏡の前で合わせるが、確かに悪くないとうんうん頷く苗字に桃井がキラキラとした笑顔を浮かべる
『せっかくさつきが勧めてくれたし、これにしようかな』
「そんな簡単に決めちゃっていいの?」
『いや他にいいのが合ったら変えるけど』
「まだ序盤だもんね」
『まあ、キープって感じで』
そのまま見て回る2人は古風なデザインから斬新なデザインまで見て周る
ふと手に取った柄を見た苗字が何かに気付き、もう1つ浴衣を手に取った
『さつきこれ一緒に着ない?』
そう言った苗字が持っていたのは金魚の描かれている生地の色だけが違う同じ柄の浴衣だった
『赤の金魚が征十郎で…黒の金魚がテツヤ?みたいな?』
「えー!すごいいい!それにしよ!」
『即決?』
「名前ちゃんとお揃いってだけで即決だよ!」
『じゃあこれにしよっか』
遅れて値段も確認したようだが意外と手ごろな値段で苗字が安堵していた