第27章 おそろいの
桃井と花火大会に着る浴衣を新調しようと約束した日、梅雨が近づいてきており傘がいるか微妙な天気に首を傾げる
天気予報は曇りだが降水確率50%という数字に、折り畳み傘を持っていこうかと玄関の棚を開けて目当ての物を取り外に出た
『微妙な天気だなあ』
雲は厚くも黒くもない。でも紫外線は出てるだろうから日焼け止めを塗らなければいけない
いっそ雨が降ってくれた方が楽なのかもしれないが濡れるもの嫌だと、そんなどうでもいいようなことを考えていると待ち合わせ場所に到着するが桃井の姿はまだなかった
スマホで時間を確認するとまだ集合時間には早いため、苗字は先についたことを連絡しアプリゲームをしながら彼女を待つことにする
「あれ、名前ちゃん?」
呼ばれた名前に苗字が顔をあげると、見知った顔が2人こちらを向いて立ち止まっていた
『小金井先輩、水戸部先輩も』
「何してんの?赤司とデート?」
『さつきとデートです』
「桃井ちゃんと!?いいねー!
オレら就活用のシャツ買い足そうと思ってさーな!水戸部!」
『就活…』
聞くだけで気分が下がる単語にまだ始まってもいないはずの苗字の顔から笑顔がなくなる
分かりやすい彼女の表情に小金井が軽快に笑っていた