第26章 食堂
「赤司君とはゴールデンウィーク以来あっているんですか?」
『うん。部活帰りとか、たまに会ってるよ』
「幸せそうで何よりです」
『幸せそう?』
「はい…高校1年生の時の名前さんは辛そうだったので」
『そりゃまあ、なあ』
学食を食べる苗字の手が止まる
今思えば辛い記憶ばかりではなかったが、一緒に楽しくやっていた彼らが自分のことを忘れているのだ
少し暗くなる様子の彼女に黒子が話題にすべきじゃなかったかと言葉を探していると、白米を1口食べて彼女は笑う
『でもこうしてまたみんなと一緒にいれるから、もういいよ』
「…ボクも、同じ気持ちです」
『一緒だね』
もぐもぐ食べ進める彼女を見て安心してふわりと笑った彼は、同じように食べ進める
先に食べていた黒子が食事を終え雑談をしていると、周りにいる人たちから花火大会というワードが聞こえてきた
彼らも花火大会は行く約束をしている。そんな話題を聞くと、話をしたくなってしまう
「花火大会、楽しみですね」
『うん。今度さつきと新しい浴衣買いに行くんだ』
「楽しんで来てください」
『まあ去年もさつきと一緒に買ったんだけどね』
「もう成長することはないでしょうし、1年ごとに着まわせばいいんじゃないですか?」
『そーねえ、好みの浴衣があるといいんだけどね』
「名前さんならなんでも似合いそうですけど」
『…おう、ありがとう』
急な褒めに動揺している苗字は気が付いていないがかなり視線が集まっている
中学時代ほどではないが目立つ彼女だ。目を引くし色んな人が気になるのだろうと察したが、黒子は気にせずそのまま話を続けた