第25章 進級と遭遇
「ありがとうございましたー」
新年度が始まり、新入学制が入ってきた
そんなすれ違うキラキラピカピカと期待にあふれた彼らを見た苗字はそろそろ髪を切るかと美容院に行くことにする
髪がサラサラツヤツヤになってご機嫌な帰り道、歩いているとストバスコートの前に差し掛かり、ボールの弾む音が聞こえてくる
別に珍しいことでも何でもないのだが、なんだか彼女の中で引っ掛かりコートの中を覗くと、知っている顔がそこにいた
黒い髪を揺らす彼に近づき、フェンスを開けるが苗字に気が付かないほど集中しているらしい
そんな彼の名前を、驚かさないように大声で呼んだ
『和成!』
名前を呼ばれた彼はドリブルを止める
つり目が苗字を視界に入れた瞬間、彼の表情が真剣な表情からニコリと笑顔を浮かべた
「…名前ちゃん!おっつー!」
『自主練?』
「まーね!名前ちゃんは?」
『美容院の帰り』
「あーだからいつもよりサラサラなんだ!あんま長さ変えてないっしょ?」
『うん。毛先整えたくらい』
「肩くらいの時も似合ってたけどな、やっぱ長い方が落ち着くし好きだわ」
『どうもありがとう』
いつもよりサラサラな長い髪を指に巻き付ける彼女に近づき、ボストンバッグからタオルを取り出し高尾は汗を拭う